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日本舌側矯正歯科学会会誌
Vol. 2015 (2015) No. 25 日本舌側矯正歯科学会会誌 p. 33-48

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http://doi.org/10.11284/jjloa.2015.33


Objective
外科を伴う矯正治療を希望しながら,様々な理由で矯正治療のみによる治療計画へ変更することも日本では多くみられる.今回は反対咬合の症例から,外科を伴う矯正治療のシミュレーションと非外科により矯正治療のみで治療を行った結果を比較しながら,歯列と咬合および顔貌の改善を行った症例について報告し,検討を行う.
Methodologies
症例1,2ともにオトガイ部の若干の突出とB点が前方に位置するため,初診来院時のコンサルテーション時から下顎枝矢状分割による外科的下顎後退を併用した治療法を検討していたが,本人の希望により,非外科によるリンガルブラケット矯正法で治療を行った.上下顎の小臼歯抜歯により,下顎については前歯部の後退と舌側傾斜で,下顎前歯の被蓋改善を目的に治療を行った症例について,その治療結果の検討を行う.
Results
歯軸傾斜の変化により,非外科による矯正治療のみでconcave facial typeの顔貌を改善できたものと考える.リンガルブラケット矯正の特徴である下顎の固定が強いことや前歯の舌側傾斜を行いやすいこと利用し,非外科による矯正治療で良好な結果を得られることは,外科を希望しない患者の有効な選択肢となると考える.
Conclusions
非外科的に矯正治療を行うことで,デンタルコンペーセーションは解消されず,下顎前歯の舌側傾斜は存在する.しかし,下顎前歯を安定した位置に保つために必要な条件である,下顎歯槽骨の範囲内に歯根を位置づけることができたため,歯肉退縮や歯根吸収も起こらずに治療後も咬合は安定している.
今回の症例では十分にプロファイルの改善が得られたことに患者は満足している.このように標準的な上下顎骨の前後的な位置へ外科的に顎骨を移動することがすべての症例で必要とされるのではなく,歯槽骨内で歯の移動を安全に行うことが重要であると考える.

Copyright © 2015 日本舌側矯正歯科学会

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