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音声言語医学
Vol. 50 (2009) No. 4 P 276-284

記事言語:

http://doi.org/10.5112/jjlp.50.276

特集<言語障害への新たなアプローチ>

本論文では, 発達性dyslexia 1例 (症例ST) と発達性dyslexia 6例 (症例1-6) を対象とし, 成人を対象とした認知神経心理学を発達性dyslexiaに直接適用する際の問題点について述べることを目的とする. 症例1でみられる発達性書字障害の障害構造は従来の二重経路モデルでは解釈しきれず, 同じ症例において音韻障害が認められないにもかかわらずひらがな, カタカナの音読においては, 音韻性dyslexia様の症状を呈することを述べた. 反対に, 発達性dyslexia 6例のうちの5例に関して漢字の非語と非一貫語 (不規則語) の音読成績の乖離を基準に分類すると, 要素的認知機能検査にて音韻障害が認められているにもかかわらず表層性 (surface) dyslexiaと解釈される児童が認められた. 以上のように, 発達性dyslexiaに成人領域でのモデルを直接適用すると矛盾が生じる場合があるように思われ, 発達を考慮したモデルを構築すべきではないかと思われた. しかし, 本報告では症例数, 定型発達児数ともに少ないこと, 十分に統制された刺激が使用されていないこと, 音読年齢を基準に比較されていないことなど, 今後検討されるべき問題点についても言及した.

Copyright © 2009 日本音声言語医学会

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