シルビウス裂周囲の大脳皮質に異常をきたす脳発達障害について, 神経病理学的面から述べ, 先天性および後天性疾患に見られる可塑性について考察した. 先天性の大脳皮質形成異常では, 頭部画像で早期診断され, 遺伝子変異が見出されるが, 病巣の局在と神経ネットワークの再構築によって, 言語機能への影響は変わり多彩である. 脳機能画像でも, 神経細胞レベルでも, 脳障害に対する代償機能や可塑性が見出され, 療育やリハビリテーションへの活用法の進歩が期待される. ダウン症候群脳の発達と加齢の観察から, 発達遅滞や早発認知症が見られるものの, 脳には長期にわたる代償や可塑性が見られ, 継続的介入が大切であると考えられる.