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音声言語医学
Vol. 53 (2012) No. 4 p. 276-280

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http://doi.org/10.5112/jjlp.53.276

総説

声帯注入術100年の歴史を鑑みれば,成績のいかんを問わず安全な物質が理想であり,自家組織で持続する注入物質の必然性が指摘された.つまり「人間に不自然な物質は,生体の防御機構により淘汰される」と考えられる.
それに対し1997年以降,声帯溝症に対してラインケ腔に自家側頭筋筋膜を移植する手法,Autologous Transplantation of Fascia into the Vocal folds(ATFV)を用いて声門閉鎖不全と音声の改善を試みてきた.その後の厚生労働省の難治疾患研究事業「声帯溝症」班研究においても有効性は明らかであった.
一方で再生手術であるがゆえ,細胞そのものの活性の低い加齢による声帯萎縮や,早老症Werner症候群では効果が弱く,再生が遅いなど問題点もある.
そこで,移植と同時に骨髄から新鮮な分裂機能の高い間葉系幹細胞を動員,つまり自家筋膜移植と同時あるいは前後にG-CSFを静注することで,移植創に幹細胞を効率良く供給し,創傷治癒機転を補強することで,ATFVの効率が上がるのではないかと推測,提案した.

Copyright © 2012 日本音声言語医学会

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