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音声言語医学
Vol. 53 (2012) No. 4 p. 319-328

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http://doi.org/10.5112/jjlp.53.319

原著

本研究は,インクルーシブ環境において初回観察と1年後の再観察の2時期にわたり,平均聴力レベル72.6 dB(レンジ48.7~92.5 dB,1 SD 18.7)の聴覚障害幼児8名を観察した.そして,どのようにコミュニケーション行動,統語構造(MLUm),社会性の発達,聴児側の関わり方等が社会的遊びに影響を及ぼしているか分析した.結果,1年間の経過で遊びの水準が向上し,特に協同遊びは5歳児から6歳児にかけて飛躍的に向上した.1年間の経過で対象児のコミュニケーション行動は向上したが,統語構造(MLUm)の発達的変化は乏しかった.聴覚障害児の協同遊びは,非言語的な手掛かりと状況判断が用いられており,的確な言語内容と構文の使用による社会的遊びの豊かな展開には,個別発達の評価と指導が重要と考えられた.協同遊びの形成には,聴覚障害児と聴児の遊びの発達を前提として,社会性の発達と対象児への障害配慮など両者の発達がダイナミックに改善する様子が観察され,同観点でのインクルーシブ環境の整備の有効性を指摘することができた.

Copyright © 2012 日本音声言語医学会

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