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音声言語医学
Vol. 56 (2015) No. 2 p. 154-165

記事言語:

http://doi.org/10.5112/jjlp.56.154

原著

本研究では,音声言語コミュニケーションを用いる,平均聴力レベル71.6 dB(48.7~92.5 dB,1 SD 19.4)の聴覚障害幼児6名(生活年齢6歳~6歳10ヵ月)の社会的遊び場面における協同的なナラティブ構成の発達について,生活年齢3~4歳の聴児と比較して検討した.結果,聴覚障害児は聴児と比べて,子ども同士で遊びのテーマを共有し,展開を予測し合いながらストーリーを構成していく協同的なナラティブ産生が遅滞する傾向にあった.ナラティブの構成にはメタプレイが関与しており,遊びの役を演じた発話の要因との関連性は低かった.聴覚障害児のメタプレイは,聴児とおおむね同水準の形式的発達(MLUm値)を示したにもかかわらず,遊びの展開で運用される頻度に乏しい傾向にあった.聴覚障害児は,聴児との社会的遊びのテーマの共有と伝達が難しく,刻々と変化する遊びのストーリー展開の俯瞰的な理解が困難であり,その結果,発話文長から期待されるほどにはメタプレイが増加しないと推察される.メタプレイは,人間行動に関するメタ認知に基づき,ナラティブの構成を可能とする重要な言語行動と考えられた.

Copyright © 2015 日本音声言語医学会

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