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音声言語医学
Vol. 57 (2016) No. 2 p. 227-237

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http://doi.org/10.5112/jjlp.57.227

原著

筋電図検査の際には目的とする筋以外の筋活動が混合し,検査の信頼性を低下させて定量解析を妨げる場合がある.本研究では,多変量解析の一手法である独立成分分析(ICA)を内・外喉頭筋の筋電図検査に応用し,筋電図信号から混合成分を除去して,分離波形の抽出と信号の精度改善が可能であるか検証した.
 被験者の健常男性(37歳)に対して経皮的に輪状甲状筋(CT),胸骨舌骨筋(SH),混合信号としての両者の中間点(CT+SH)へ有鈎双極電極を刺入し,複数の検査課題(裏声/i/,グリッサンド/i/,下顎の上下運動,頭部前屈,裏声発声/aiai/,裏声の構えによる呼気)を行って筋電図信号を記録した.そして,CTとCT+SHの観測信号にICAを行い,CTとSHの分離波形を取得して分離波形SHと観測信号SHを比較した.
 ICAにより分離信号SHは観測信号CT+SHと比較して69.5%の精度の改善を認めた.分離信号CT・SHは,文献的なCTとSHの活動様式とおおむね一致し,分離波形SHと観測信号SHの間に高い相同性(寄与率65.1%)を認めた.
 ICAによって内・外喉頭筋の筋電図の混合除去による信号精度の改善が可能で,筋電図検査の質的向上に寄与しうることを実証した.

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