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音声言語医学
Vol. 57 (2016) No. 3 p. 261-271

記事言語:

http://doi.org/10.5112/jjlp.57.261

原著

ナラティブは言語,認知,社会性の能力を含んでいる.本研究では異なる材料と課題を用いて典型発達児のストーリーの構造と内容の発達に関して横断的な検討を行った.4:01~6:11の典型発達児118名を対象として“Frog, Where Are You?”と“ぞうさん故郷に帰る”のストーリーを用いて,自発話課題と再生課題を行った.分析は材料および課題による差異を比較した.
 その結果,ナラティブはすべての年齢で課題や材料によらず,ストーリーの長さや語彙数,統語において同一個人内での高い相関があった.また,両材料,両課題ともに年齢の増加とともに自立語数が有意に増加し,さらに内容も豊かになった.年齢群ごとの比較では4歳と5歳以上で有意な差異があり,4歳児においては十分なストーリーの内容を再生し,物語ることは難しいことが示された.しかし,5歳以上では徐々に材料による差異が明確になり,6歳では有意に材料間の差異があった.
 言語の形式と内容は一体となり発達し,5歳以降でのナラティブの発達が認められた.課題や材料によらず,個々の産出能力は一貫していた.典型発達児のナラティブの発達の標準的な結果を示し,評価ツールとして有用であることを示すことができた.

Copyright © 2016 日本音声言語医学会

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