音声言語医学
症例
漢字書字が苦手な高度難聴児1名に行った良好な音声言語の長期記憶力を活用した漢字書字練習
三盃 亜美宇野 彰後藤 多可志井上 恭子松本 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

57 巻 (2016) 3 号 p. 305-311

詳細
PDFをダウンロード (396K) 発行機関連絡先
抄録

漢字書字が困難だという訴えがある高度難聴児1名に良好な音声単語の長期記憶力を活用した漢字書字練習法を適用したので報告する.先行研究の発達性書字障害のある健聴例同様に,音韻能力と視覚性の記憶力の双方が低かった一方,音声単語の長期記憶力は良好だった.通常の書いて覚える方法(視覚法)と,漢字の構成要素を音声言語化して覚えるという音声言語の長期記憶力を活用した方法(聴覚法)で漢字書字練習を行い,その練習効果を比較した.練習期間直後と2週間後で,両方法による成績が練習開始前よりも有意に高かった.しかし,4ヵ月後では,視覚法の成績は練習開始前と有意差は認められなくなった一方,聴覚法の成績は,2週間後と同様に,練習開始前よりも有意に高かったことから,聴覚法の練習効果の有意な持続性が認められた.漢字書字が苦手な難聴児においても音声単語の長期記憶力が良好な場合には聴覚法による漢字書字練習が有効ではないかと思われた.

著者関連情報
© 2016 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top