2017 年 58 巻 3 号 p. 228-236
話しことばのプロソディを手掛かりにして,感情を表す音声の種類別に発話者の感情を理解できる年齢を調べた.119名の幼児・小学1,2年の児童を対象に調査した.課題に使用する会話文は,幼児同士が日常的に使用している語句を用いた.課題に用いた短い会話文の音声は,プロソディを変化させた.異なるプロソディとしては【受容】【強がり】【拒否】【ふざけ】の4種類を用いた.その結果,【受容】については年中児以降で成人と同等ほぼ100%理解でき,【強がり】【拒否】については約90%理解できるようになるのは【強がり】で年中児,【拒否】で年長児であった.【ふざけ】については年少児で8%,就学後で90%以上が理解していた.【ふざけ】は就学前と就学後に理解の差があったことから,【ふざけ】の音声は幼児期からの人の気持ちを理解する客観的評価に使用できると考えられた.