音声言語医学
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原著
学校健診における嗄声の出現率とスポーツ活動との関連
髙原 由衣佐藤 公美竹山 孝明坂本 幸青木 俊仁伊藤 美幸池田 美穂田上 真希吉田 充嬉岡田 規秀宇高 二良島田 亜紀武田 憲昭
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2017 年 58 巻 4 号 p. 326-332

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抄録

小中学校の耳鼻咽喉科定期健康診断を受診した1384名について,嗄声の出現率とスポーツ活動との関連を検討した.嗄声の出現率は,女児(5.2%)に比べて男児(17.7%)が高く,男児は小学校3年生まで高く4年生以降に減少し,女児は小学校2年生まで高く以降減少したが中学校2,3年生では高かった.小学校の高学年ではスポーツ活動を行っていない児童(男児4.9%,女児0.6%)に比べて,スポーツ活動を行っている児童(男児21.2%,女児5.8%)は嗄声の出現率が有意に高かった.スポーツの種類と嗄声とのオッズ比は,男児の小学校低学年の野球が2.88,小学校高学年でサッカー2.29,野球2.92で高く,強い声門閉鎖を伴う屋外の団体スポーツであることが要因と考えられた.小学校の男児に野球やサッカーを行わせる場合には,声の衛生を行い嗄声の予防が必要である.中学生は,対象者を増やして再検討が必要である.

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© 2017 日本音声言語医学会
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