音声言語医学
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症例
強直性脊椎炎を基礎疾患とする竹節状声帯例
白井 裕美子土師 知行末廣 篤前川 圭子雲井 一夫
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2017 年 58 巻 4 号 p. 346-349

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抄録

自己免疫疾患の一つである強直性脊椎炎(AS: ankylosing spondylitis)を基礎疾患とする竹節状声帯症例を経験した.症例は既往にASのある40歳女性.喫煙,音声酷使あり.初診時,両側声帯に白色の隆起性病変を認めた.既往歴から竹節状声帯の可能性も考慮したが,音声酷使があり,声帯結節と考え,まず音声治療を行った.初診から6ヵ月間,音声治療のみ行い,音響分析の値が改善した.6ヵ月目にASが増悪すると嗄声も増悪し,7ヵ月目の喉頭内視鏡検査で竹節状声帯と診断した.8-11ヵ月目まで原疾患に対する薬物治療を行い,ASは寛解,声帯病変と嗄声も改善した.ASに竹節状声帯が発症したとする報告は渉猟しえた範囲では見られなかった.本症例は声帯結節を併発し,音声治療と原疾患に対する薬物治療で嗄声が改善した.原疾患の寛解・増悪に連動し,声帯病変と嗄声も改善・増悪した.竹節状声帯は,基礎疾患に自己免疫疾患がある場合には常に念頭におくべき疾患であると考えられた.

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© 2017 日本音声言語医学会
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