音声言語医学
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原著
内転型痙攣性発声障害話者の同音異義語弁別について
柳田 早織西澤 典子溝口 兼司畠山 博充本間 明宏福田 諭
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2018 年 59 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

内転型痙攣性発声障害と診断された10例にアクセント対立のある同音異義語対を音読させ,聴覚障害のない標準語話者大学生10名が語意判定を行った.語意判定の結果,評価者内判定一致率は88.6%で,評価者の半数以上が誤判定したのは19/80試料(23.8%)であった.誤判定された19試料を①有声/無声,②アクセント核の位置という観点で分類したところ,有声音のみからなる場合(11/19試料),第2モーラにアクセント核がある場合(13/19試料)で誤判定されやすいという特徴が明らかになった.痙攣性発声障害における発語困難は単純な「こえ」の障害にとどまらず,声の高さの調節を含めた「ことば」の障害に波及し,発話明瞭度の低下につながる可能性が示唆された.

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© 2018 日本音声言語医学会
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