音声言語医学
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原著
聴覚障害児におけるハイポイント法を用いた書記ナラティブ発達の検討
大原 重洋廣田 栄子
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2018 年 59 巻 3 号 p. 209-217

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抄録

本研究では,7〜11歳の聴覚障害学童44名(平均聴力レベル99.6 dB,1 SD 13.8)の書記のナラティブ産生について,マクロ構造としてハイポイント法を用いて評価し,発達特性と因子構造を明らかにし,さらに,ミクロ構造を解析した.結果,聴覚障害児のナラティブ産生では,低学年で構造に乏しく,高学年で急速にマクロ構造の獲得が進む発達過程にあった.マクロ的側面は,「場面設定」と「物語展開」の2因子で構成され,低学年では後者の因子の使用に乏しく,ナラティブ全体を構想し,効果的に各出来事を組み立てることが困難であり,主要な出来事の列挙により,ナラティブを産生する傾向にあった.ミクロ構造については,マクロ構造の発達と同時期に,平均文長(Mean Length of Utterance: MLU)が高次化する傾向を示した.言語指導では,幼児期から一貫して,多因子で構成するナラティブ構成への展開へ留意し,併せて,語彙の増加と文法知識の向上を図ることの重要性が示された.

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© 2018 日本音声言語医学会
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