音声言語医学
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症例
職業歌手の声帯微小病変に対する喉頭微細手術の適応と効果について
許斐 氏元駒澤 大吾鹿島 和孝渡邊 雄介
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2018 年 59 巻 3 号 p. 226-236

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抄録

目的:elite vocal performer(EVP)に見られる,音声検査では異常に乏しい微小病変の診断方法や手術適応を検討すること.
 対象と方法:対象は東京ボイスセンターに受診した歌唱に関する愁訴をもつEVPで,微小病変に対して手術加療を施行した歌手4症例である.術前後の各種音声検査では明らかな異常が見られないものの,ストロボスコープ検査にて声帯粘膜の微小病変を認めた.主訴の原因となりうるかを検討したうえで,全身麻酔下で喉頭微細手術を施行した.
 結果:全例で微小病変は術後に消失し,自覚的な主訴が改善した.
 考察:声帯振動の詳細な観察から確認した微小病変と,適切な問診による再現性のある主訴との間の整合性を検討し,手術適応を判断する必要があった.
 まとめ:EVPの音声障害において,術前の音声検査では抽出困難な例を示した.主訴と微小病変の関連も含めて診断し,手術加療を行うことで主訴が改善する可能性を示唆した.

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© 2018 日本音声言語医学会
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