音声言語医学
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総説
声帯内注入術の治療効果と問題点
―難治症例を中心に―
深堀 光緒子千年 俊一佐藤 公則梅野 博仁
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2018 年 59 巻 4 号 p. 303-310

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抄録

声帯内注入術は,声門閉鎖不全に対する頸部外切開を必要としない低侵襲な音声外科的治療法の一つである.当科では,全身麻酔が可能で生命予後に問題がない場合は全身麻酔下に自家脂肪を,外来治療を望む場合やるい痩がある場合は局所麻酔で経皮的にコラーゲンを,悪性疾患ターミナルで余命の少ない症例には経皮的にシリコンを注入材料として用いている.当科における声帯内注入術の治療成績と経験した難治例3症例を提示した.症例1は複数回のコラーゲン注入を行った声帯麻痺,症例2は脂肪注入術後に患側声帯が下方に位置する声帯レベル差が判明した声帯麻痺,症例3は瘢痕除去術と脂肪注入術を行ったが音声が改善せずbFGF注入術を行った声帯瘢痕である.それぞれ,注入材料の吸収による効果減弱,注入による披裂軟骨の内転効果,既存の注入材料による声帯瘢痕への音質改善効果に問題点があった.注入術の原理と注入材料の特性を理解し,声帯内注入術によって音声改善が得られない病態を把握する必要がある.

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© 2018 日本音声言語医学会
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