音声言語医学
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パーキンソン病患者の発話課題での単調子(monopitch)に対する体系的訓練LSVT®LOUDの効果
飯髙 玄冨田 聡荻野 智雄関 道子苅安 誠
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2018 年 59 巻 4 号 p. 327-333

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抄録

パーキンソン病(PD)患者の発話特徴の一つである単調子(monopitch)は,発話の明瞭さと自然さを低下させる.本研究では,日本語を母国語とするPD患者のmonopitchが,体系的訓練LSVT®LOUD(LOUD)により改善するかを調べることを目的とした.対象は,2011〜2016年にLOUDを実施したPD患者40例のうち35例(平均年齢66.0歳)と健常者29例(平均年齢68.0歳)とした.音読から選択したイントネーション句の話声域speaking pitch range(SPR),音読と独話でのmonopitchの聴取印象評定(4段階)をmonopitchの指標とした.音読と独話での平均音圧レベル,発話明瞭度(9段階)と発話自然度(5段階)も評価した.訓練前後で比較すると,音読でのSPRは,10.5半音から13.1半音と有意に大きくなり(p<0.01),健常対照群とほぼ同レベルまで改善した.monopitch,発話明瞭度,発話自 然度の聴取印象評定は,いずれも訓練後に有意に改善していた(p<0.05).平均音圧レベルは,音読・独話とも,訓練後に有意に増加した(p<0.01).LOUDは,日本語を母国語とするPD患者の小声だけでなく,monopitchにも有効であることが示された.

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© 2018 日本音声言語医学会
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