音声言語医学
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原著
彩色画の呼称成績を予測する心理言語学的要因
石井 由起宇野 彰春原 則子
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2019 年 60 巻 2 号 p. 130-139

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抄録

日本の生活様式や文化的側面を考慮に入れ,独自に作成した259枚の彩色画を用い,日本語母語話者の呼称成績を予測する因子を検討した.対象は健常成人のべ379名で呼称課題,単語評定課題を実施し,年齢による正確性の差を除外した213枚の呼称課題成績について分析した.重回帰分析の結果,呼称の正確性と呼称潜時を強く予測する因子は名称一致度,イメージ一致度だった.この因子に加え,正確性の予測に親密度,頻度,語彙の獲得年齢が,呼称潜時の予測には,心像性が関与した.語音を正確に表出するには音韻出力レキシコンに影響する親密度,頻度,語彙の獲得年齢が,正確かつ速く呼称するには音韻出力レキシコンの活性だけではなく意味の活性が不可欠なため心像性が関与すると推測した.

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© 2019 日本音声言語医学会
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