音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
症例
カタカナ書字困難を訴えた軽度聴覚障害児1名に行ったカタカナ書字練習
藤吉 昭江宇野 彰福島 邦博
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 60 巻 2 号 p. 148-154

詳細
抄録

カタカナ書字の困難さを訴える軽度聴覚障害児1名に,良好な音声言語の長期記憶力を活用したカタカナ書字指導法を適用した.健聴児における読み書きの困難さの原因と考えられる認知障害構造には,視覚認知障害,音韻認識障害が挙げられる.本症例も音韻認識能力が低かったが,音声言語の長期記憶は良好であった.また,本人の練習したいという意思を確認し,先行研究の発達性読み書き障害健聴例を対象としたバイパス法を用いた仮名指導と同様に書字練習を実施した.3週間における段階的な指導の結果,カタカナの46文字書字は指導前に比べて指導後,34文字から46文字へ有意に正答率が上昇した(P<0.01).1モーラ表記文字の書取も,80文字から101文字へ有意に正答率が上昇した(P<0.01).短期間での効果が認められたことから,書字が苦手な聴覚障害児においても,音声言語の長期記憶力が良好な場合には,バイパス法を用いた練習が有効であると考えられた.

著者関連情報
© 2019 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top