本研究では,日本語レイト・トーカー(LT)と呼ばれることばの遅れを示す子どもの語彙発達の特徴を調べるために,24ヵ月のLTの表出語彙を,LTと表出語彙数が同程度の定型発達児である語彙数統制群(vocabulary-matched:以下,VM群)と,LTと月齢が同程度の定型発達児である年齢統制群(age-matched:以下,AM群)の2つの統制群と比較した.日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を用いて測定した表出語彙を,語彙カテゴリ(動物,乗り物など)および意味カテゴリ(普通名詞,述部,社会語,幼児語)に分類し,その表出割合を調べた.その結果,語彙カテゴリ構成は,LT群とVM群で非常に類似していることがわかった.意味カテゴリの分析の結果,LT群とVM群で社会語と幼児語の表出割合が高く,AM群で普通名詞と述部の表出割合が高いことが明らかになった.これらの結果から,日本語LTは語彙の遅れは見られるものの,その獲得パタンは,年齢は低いが同程度の語彙数をもつ定型発達児と似ている傾向が示唆された.