音声言語医学
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症例
舌癌症例における構音能力の経過
―言語性交互変換運動課題での音圧格差の計測―
南都 智紀苅安 誠中尾 雄太児玉 典彦道免 和久
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2019 年 60 巻 4 号 p. 345-351

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抄録

構音障害話者では,言語性交互変換運動(O-DDK)で音圧軌跡が平板化することがある.今回,舌癌術後の症例でO-DDK課題の音響分析の所見を含め構音能力の経過を報告する.症例は63歳男性,左側舌癌に対して部分切除術が施行された.術前,術直後,退院時に,発話・構音能力の評価を行った.指定テンポ(1〜3 Hz)と最高速で音節(/pa/,/ta/,/ka/)の反復を行わせ,母音部の最大音圧(Peak)と子音部の最小音圧(Dip)を求めた.Peak平均を100,無音区間の音圧を0としてDipを正規化した(%Dip).術直後には,100単音節明瞭度はいくぶん低下(96%)していた.舌先音/t/のO-DDK(最高速)での%Dipは,術前と比較して,術直後に値が大きく(80.6%),退院時には低下した.O-DDKでの音圧格差は,構音の能力を表す定量的指標になる可能性が示された.

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© 2019 日本音声言語医学会
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