音声言語医学
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総説
運動障害性構音障害(dysarthria)に対する医学的対応
―ヒトの特異性とは何か?―
三枝 英人
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2020 年 61 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

構音はヒトのみが行う運動であるが,それを担う構音器官は,本来,構音を目的とするものではない.すなわち,呼吸と水分・栄養摂取に従事する器官であり,それらがヒトの脊柱による直立姿勢と,直立に伴う呼吸様式の変化と安定を基盤にして,音声言語活動に見合う自在性を獲得したものと考えられる.逆に,さまざまな要因により直立姿勢および呼吸様式に一定以上の負担が加わると,構音器官はこれらに対して代償的に活動することとなる.その結果,構音器官の構音を行うための自在性に制限が加わることとなり,神経学的異常による構音運動の異常が,より修飾されたものとなりうる.神経学的異常に起因した運動障害そのものを改善させることは難しいが,2次的に修飾された増悪因子を軽減することは可能である場合が多い.dysarthriaに対する医学的対応とはdysarthriaそのものよりも,患者全体をまずいかに見詰めるかに掛かっている.

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© 2020 日本音声言語医学会
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