2020 年 61 巻 1 号 p. 50-60
【目的】音声障害患者と若年-壮年健常成人において音声疲労質問紙Vocal Fatigue Index(VFI)日本語版の信頼性と妥当性を検証した.
【方法】調査対象者は,全国6施設の協力を得て,音声障害患者102名(音声障害患者群)と健常成人56名(健常者群)の合計158名とし,全員にVFIを1週間以上おいて2回実施した.
【結果】①VFIの内部一貫性を示すCronbachのα係数は,0.919であった.
②VFIの再信頼性を示す検者内信頼性係数は,0.912であった.
③VFIを構成する下位項目ファクターTとファクターPの得点と総得点の平均は,音声障害患者群は健常者群よりも有意に高かった.
④VFIの音声障害患者と健常者のカットオフ値は,21.5であった.
【結論】①VFI日本語版は十分な信頼性が示されたが,翻訳に関しては一部再検討の余地がある.
②VFI項目別得点と総得点の平均に音声障害患者群と健常者群の間で有意差が認められ,音声障害の検出に有用であることが示唆された.