音声言語医学
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症例
プロソディ障害が残存した右半球病巣による非右利き発語失行の1例
福永 真哉時田 春樹塩見 将志池野 雅裕永見 慎輔中谷 謙
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2020 年 61 巻 1 号 p. 67-75

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抄録

発語失行は発語運動のプログラミングレベルの障害とされ,責任病巣は左中心前回中下部とされている.しかし,右半球病巣によって生じる発語失行例はまれであり,発話特徴の一つであるプロソディ障害と他の発話障害で生じるプロソディ障害との違いは明らかにはなっていない.
本症例は初診時に右中心前回中下部の皮質・皮質下を含む病巣で,発語失行が生じたことから,発話機能は右半球に優位な側性化がなされていたと考えられた.本症例のプロソディ障害に対し,アクセント課題を実施したところ,音読ではアクセントパターンの表出障害を認めたが,アクセントパターンの聴覚的判断や復唱でアクセントパターンの表出が保たれていたことから,感情的プロソディ障害であるアプロソディアには該当しないと考えた.加えて,本症例のプロソディ障害は初診時に認められた発語失行の改善に伴い,構音の誤りから自己修正や音の連結不良へと変化し発話速度の低下を認めたことから,外国人様アクセント症候群によるものではないと考えた.
本症例の改善経過からプロソディ障害は,発語失行による構音の誤りを代償するための自己修正や音の連結不良によって生じたと考えられた.

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© 2020 日本音声言語医学会
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