物にかかわる行為・認識の発達的様相と言語発達との関連性について,知的発達症の程度が軽度から重度の就学前の13例(女児6例)を事例的に検討した.方法は,子どもの保育室でのこちらが用意した物による筆者との1対1の原則として30分の遊びのなかで,子どもの自発的な物にかかわる行為を観察し,保護者記入による「日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙」の表出語数,理解語数との関連を検討した.その結果,物にかかわる行為には,視覚的探索,感覚運動的手操作,機能的でない関係づけ,機能的関係づけ・慣用的操作,象徴的行為,物の見立て,分類が観察され,感覚運動的手操作,視覚的探索などの行為が連鎖して展開された.物にかかわる行為における手続きの変化は,物を操作し,その可能性を表象するための方略,計画,思考,想像の過程を示唆し,自閉スペクトラム症の有無にかかわらず,物にかかわる行為における抽象化と言語発達との関連が示唆された.