音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
原著
本態性音声振戦症に対する音声治療の経験
前川 圭子末廣 篤
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 61 巻 3 号 p. 223-229

詳細
抄録

本研究では,本態性音声振戦症2例に対して実施した音声治療の有効性について検討し,効果的な音声治療の方法を探ることを目的とした.発声機能検査の結果より,やや高め,弱めの,短い発声を行うときに,音声振戦症状が軽くなることがわかった.つまり,声帯内転筋の活動レベルを弱める方法が,音声振戦症に対して効果的な音声治療手技であった.これを用いて,母音発声から会話レベルまで,振戦症状が軽減する発声様式を習慣化させる系統的音声治療を行った.その結果,両例において,voice handicap index(VHI),voice-related quality of life(V-RQOL)を用いた主観的評価,母音発声時の音響パラメータが改善し,文章発話時の異常モーラ数が減少した.振戦自体を完治させることは不可能だが,侵襲を加えることなく音声症状の改善を得ることができ,コミュニケーション上の支障を軽減することが可能であった.本態性音声振戦症に対し,選択すべき治療法の一つになると考える.

著者関連情報
© 2020 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top