音声言語医学
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症例
聴覚的理解が可能であった単語においてもLASC errorを認めた表層性失書の1例
高橋 大水本 豪橋本 幸成宇野 彰
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2020 年 61 巻 3 号 p. 258-265

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抄録

本研究では漢字二字熟語の書取においてLASC errorを呈した失語症例の書字障害について検討した結果を報告する.症例は,左側頭葉脳腫瘍に対して開頭腫瘍摘出術が行われていた.表層性失書例で観察されるLASC errorは意味処理障害との関連が示唆されている.そこで,同一単語に対し聴覚的理解課題と書取課題を行った結果,聴覚的理解が可能であった単語においてもLASC errorを認め,LASC errorの原因として意味処理障害のみでは説明が困難であると考えられた.認知神経心理学的検討によって,本症例は意味システムから文字出力辞書へいたる経路に障害があり,比較的良好な非語彙経路を用いて書きの一貫性値がより高い漢字を選択した結果,LASC errorが生じたと考えた.また,表層性失書は,semantic subtypeとorthographic subtypeの2つのタイプに分類されるが,本症例はorthographic subtypeに近い臨床像であると考えられた.

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© 2020 日本音声言語医学会
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