2020 年 61 巻 4 号 p. 309-314
口唇口蓋裂に関する治療は,多彩な側面からのアプローチが必要なため,多職種による包括的治療が必要である.その評価は患者ごとにそれぞれの専門職で行い,その結果を基に職種間で協議しながら,治療を行う.そのため,治療成績は職種間で共通理解する必要がある.近年,海外では,個々の患者別に行う臨床評価のほかに,施設間や評価者間で治療成績を比較するため,標準化された評価方法が開発され,臨床面や研究面に活用されている.一方,QOLの視点から,医療者側の評価に治療を受ける側からの報告(patient reported outcome)を追加して,さらに包括的な評価を試みる動きも見られている.
本邦ではこれらの標準的口蓋裂言語評価や口蓋裂に関するQOLに関する評価は未確立である.これらの視点を加えた評価を行うことで,さらなる口蓋裂の治療の質の向上や患者家族のQOLを視野に入れた支援を充実化することが希求される.