音声言語医学
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原著
高齢者に対するVocal Function Exercisesの効果の長期維持における問題点
岩城 忍涌井 絵美高橋 美貴入谷 啓介四宮 弘隆丹生 健一
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2021 年 62 巻 2 号 p. 116-122

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抄録

高齢者の音声障害に対してVocal Function Exercises(VFE)施行後1年での発声機能について検討した.対象は2014年2月以降に発声困難を訴え神戸大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診しVFEを施行した21例のうち,VFE終了後1年で音声評価を実施できた5例.男性2例,女性3例,年齢は68〜78歳(平均72.2歳)であった.VFE終了時には他覚的指標で一定の改善が得られ,1年後に維持,改善している項目もあるものの,1年後には維持できていない項目も多く見られた.高齢者の音声障害ではVFE施行後の音声の長期的な維持が困難な例があると思われた.加齢に伴う身体的変化や機能的低下は経年的であることが一因であると考えられ,今後,高齢者のVFEの効果を長期的に維持するためには,ベースプログラムをさらに長期間実施すること,同時に発声の機会を積極的に増やすよう働き掛けることが必要であると考えられた.

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© 2021 日本音声言語医学会
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