音声言語医学
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原著
喉頭摘出患者の抱える社会的,経済的側面に関するアンケート調査
宮崎 恭子櫻井 大樹増山 敬祐
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2021 年 62 巻 2 号 p. 134-139

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抄録

山梨大学医学部附属病院および他院にて2003年1月から2018年6月までに喉頭摘出術を受けた患者243例を対象に,術後の音声の使用度や社会的,経済的側面に関するアンケート調査を行い,有効な回答を得た140例を解析した.術後のコミュニケーションの方法はシャント発声がほとんどを占めた.術後の生活の不自由さは,90%が不自由と感じ,術前に比し音声の使用度は低下した.職業の変化は,転職,離職(退職),配置換えは約半数あり,月収は減少し,社会的経済的にも不利な立場になることが明らかであった.40年前に平野らが食道発声および人工喉頭を主なコミュニケーション方法とした喉頭摘出者を対象に行った同様の調査結果と比較して大きな変化は見られなかった.今後,音声再獲得のための治療法や代用音声の研究に加え,術後の患者の社会的および経済的側面へのフォーカスを継続し,さらなるQOL改善に目を向けていく必要がある.

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© 2021 日本音声言語医学会
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