音声言語医学
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症例
気管切開患者に電気式人工喉頭とカフ上発声を併用する発話を試みた1例
源田 亮二佐藤 康次沖田 浩一八幡 徹太郎
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2022 年 63 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

気管切開患者の代用音声獲得に,電気式人工喉頭(EL)とカフ上発声(ACV)を併用する音声リハビリテーションを行い,会話明瞭度と会話満足度の向上を認めた症例について報告する.
症例は,70代の男性,肺癌手術後に気管変形をきたし気管切開され,心停止後蘇生となり,長期にわたり発話音声による表出が不可能となった.代用音声としてELを試みたが文レベルでは会話明瞭度4であった.ACVは酸素流量が3 L/分で喉の不快感が強く,1 L/分にすると会話明瞭度4になり,実用的でなかった.そこで両者を併用すると会話明瞭度2.5に向上した.
併用した発話音声は,気管切開患者のコミュニケーションに利用できる可能性がある.

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© 2022 日本音声言語医学会
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