気管切開患者の代用音声獲得に,電気式人工喉頭(EL)とカフ上発声(ACV)を併用する音声リハビリテーションを行い,会話明瞭度と会話満足度の向上を認めた症例について報告する.
症例は,70代の男性,肺癌手術後に気管変形をきたし気管切開され,心停止後蘇生となり,長期にわたり発話音声による表出が不可能となった.代用音声としてELを試みたが文レベルでは会話明瞭度4であった.ACVは酸素流量が3 L/分で喉の不快感が強く,1 L/分にすると会話明瞭度4になり,実用的でなかった.そこで両者を併用すると会話明瞭度2.5に向上した.
併用した発話音声は,気管切開患者のコミュニケーションに利用できる可能性がある.