音声言語医学
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脳血管障害患者にみられる「口角と声の現象」について
―構音ならびに嚥下訓練における意義についての考察―
小島 義次窪田 俊夫
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1983 年 24 巻 2 号 p. 128-134

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抄録

脳血管障害患者の軟口蓋, または舌の一側を舌圧子でこするように刺激すると, 対側の口角が横にひかれるという反射的な運動を生じ, この時に発声させると努力性の声の質が増強するという現象をみることがある.多くの場合, これに引き続いて嚥下反射の促通がみられる.われわれはこの現象をかりに「口角と声の現象」として, その臨床的意義を考察し, つぎの結論を得た.
1.「口角と声の現象」は嚥下反射に関連するものと考えられ, 発声発語器官の運動が重度に障害されている場合は, この現象の誘発を介して嚥下反射を促通することが望ましいと考えられた.
2.正確な構音ならび随意的な嚥下は, 反射的な運動を抑制することによって成り立っているものと考えられ, 訓練のさらに進んだ段階では本現象にみられる反射的運動の抑制が必要であると思われた.

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