音声言語医学
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代用発声法とその声質
今泉 敏
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1983 年 24 巻 3 号 p. 204-210

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抄録

代用発声法とその声質について調べた.まず, 16名の無喉頭者と4名の正常者から録音した単母音/e/の声質を, 非計量的多次元尺度構成法SMACOFを使って解析した.つぎに5種の音響的パラメータと21種の聴覚心理的評定尺度を用いて, SMACOF解を解釈した.その結果, 代用音声の声質を記述するためには, 少なくとも2種類の次元を要することが示された.ひとつは音声に対する聴取者の嗜好度に関連し, 正常音声から代用音声を区別する.この次元上で食道音声は発声者に応じて幅広く評価される.もう一方の次元は, 人工喉頭の音声に固有な非正常性を示し, それらを正常音声と食道音声から分離する.これらの次元は音響的にもよく説明でき, 各代用発声法に固体な声質をよく表現する.

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© 日本音声言語医学会
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