音声言語医学
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失語症病巣からみた言語機能の局在について
―検査成績とCT像との関係―
戸塚 元吉福迫 陽子笹沼 澄子
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1983 年 24 巻 4 号 p. 257-269

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抄録

左側脳硬塞による失語症患者69例 (年齢28~81歳) の失語症検査成績と脳のCT所見との関係について, 側面図に投影する方法を用いて集計し, 以下の知見を得た.
1.多くの検査項目において側頭葉の関与が大きかった.
2.前頭葉と特に密接な関連にあったのは次の下位検査であった.すなわち, 「嚥下機能」, 「軟口蓋の運動性」, 「単音節のくり返し」, 「音韻変化」, 「流暢性」である.また側頭葉, 頭頂葉下半部と特に密接な関連が示されたのは「復唱」であった.
3.入・出力モダリティーが同じ下位検査であっても, 言語処理の複雑さ, ないしレベルの差異によって脳の関与のしかたが異なっていた.
4.検査遂行にあたっての入・出力モダリティーや言語処理の複雑さ, ないしはレベルが異なっているにもかかわらず, その差異が今回の結果に反映されない下位検査も認められた.

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© 日本音声言語医学会
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