音声言語医学
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超皮質性感覚失語症の一剖検例
会沢 房子伊林 克彦山崎 元義大西 洋司
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1984 年 25 巻 2 号 p. 127-132

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抄録

従来, 超皮質性感覚失語症の責任病巣として, 後部境界領域が考えられてきた.
われわれは, 前大脳動脈閉塞症と同時に, 超皮質性感覚失語を呈した症例を経験したので報告する.
症例は, 64歳右利き男性.完全発作発症40日前になんとなくしゃべりにくいということと, きわめて軽い右片麻痺に気づいた.この時のCTスキャンでは, 左後大脳動脈領域に一致して, 側頭葉から後頭葉にかけて境界不鮮明な低吸収域がみられた.
その後, 下肢に強い右片麻痺と強い言語障害が出現して, 来院し, 標準失語症検査の結果, 超皮質性感覚失語と診断した.
患者は, 1.5年後, 上顎腫瘍で死亡.剖検では左内頸動脈血栓による左大脳半球の萎縮の他に, 左前大脳動脈および後大脳動脈領域に古い梗塞巣を認めた.
前大脳動脈閉塞症状と, 超皮質性感覚失語が同時に出現していることより, われわれは, 本例の超皮質性感覚失語の責任病巣は, 左前大脳動脈領域の梗塞巣であろうと考えた.

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