音声言語医学
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軽度音声障害者にみられる喉頭の調節機能
渡辺 宏小宮山 荘太郎金苗 修一郎野口 敦子藤家 郁子
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1984 年 25 巻 2 号 p. 133-139

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抄録

嗄声を主訴とする音声障害者の障害の程度を音声機能検査法を中心として軽, 重2つに分類した.発声機能検査は音声の強さ, pitch, 平均呼気流率の3つのパラメータを二次元的に同時比較しながら検討した.症例は声帯ポリープ, ポリープ様声帯, 慢性喉頭炎, 声帯結節, 反回神経麻痺等である.その結果嗄声の程度が軽くある程度音楽的素養を持つ症例に, 嗄声をカバーしようとする喉頭の代償機能が認められ音声検査上で他の障害者とは, pitch―呼気流率, 音圧―呼気流率のパタンではっきりと区別できた.すなわち, 一般に音圧やpitchが増すと平均呼気流率は増加する傾向にあるが, 代償機能を示した症例群では音圧をやや強くしたりpitchを上げたりすることによって, 高い値を示す呼気流率を最小限におさえ, 喉頭の機能を維持しようとする現象が観察された.ただし, この現象は個々の疾患に特徴的なものではなかった.

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© 日本音声言語医学会
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