音声言語医学
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吃音幼児母子コミュニケーションの分析
小沢 恵美滝 瑞江
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1984 年 25 巻 3 号 p. 224-232

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抄録

吃音幼児の言語環境の調整に具体的な指針となる資料を得ることを目的として, 吃音幼児9名 (3歳0ヵ月~3歳11ヵ月, 男児) において, 対母親, 対治療士のコミュニケーション場面を比較し, 吃症状の生起との関連を分析した.分析の観点は, (1) 各発話文の言語機能, (2) 発話文の速さ, (3) 対話開始発話, の3点であった.その結果, 以下の知見を得た.
1) 母親, 治療士, 吃音児の各群の言語機能の分布は異なっていた.母親は, 自ら話すことや子どもの話しを引き出そうとする機能が多く, 治療士は子どもの発話に応じ, 受け入れる機能が多かった.吃症状が生起しやすい機能と, しにくい機能がみられた.
2) 母親群の発話は最も速く, 子ども群との差が大きかった.発話速度の順位と吃症状の頻度の順位に相関はみられなかった.
3) 対話開始発話は子ども群に多く, その際, 吃症状が有意に高く生起した.

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