音声言語医学
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突破欲求不満型幼児吃音に関するPendulum Hypothesisに基づく治療過程 (2)
―男児1症例の分析を通して―
早坂 菊子内須川 洸
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1984 年 25 巻 3 号 p. 233-242

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抄録

本研究は, 吃音歴1年の吃音男児1例に, Pendulum仮説 (早坂, 内須川, 1983) に従って試みた治療の分析を通して, 自己主張的行動 (いわゆる攻撃行動) の生起, 展開, 沈静の道筋を, 吃音の経減と併せて考察し, 感情型吃音に対する治療方法の有効性について検討することを目的とする.
治療場面では本症例の非流暢性は, 治療開始後5ヵ月に自己主張的行動が沈静化した後, すみやかに消失した.しかしながら, 家庭場面においては, さまざまな阻害要因―母親の就業, 父親の転勤, 就学など一によってPendulumが十分振り切れなかった.
超晩期感情型吃音幼児, J・Iの吃音を強化している最大の要因は, 1年間の治療を行った結果, 環境的圧力であることが確認された.今後, 本児の耐性の強度を増大させることが最も重要な課題となるであろう.

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© 日本音声言語医学会
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