1984 年 25 巻 4 号 p. 285-294
1969年11月から1983年4月までの13年6ヵ月の間に, 65例に対して平野法による咽頭弁形成術を行った.このうち40例について, soft blowing検査と音声言語による6種類の方法で, 鼻咽腔閉鎖機能を評価した.その結果はつぎのとおりである.
1.40例のうち, 鼻咽腔閉鎖機能完全が22例 (55%) , ほぼ完全が8例 (20%) , 不完全が10例 (25%) であった.
2.低年齢で手術を行った方が鼻咽腔閉鎖機能の成績がよかった.
3.過去の手術回数と裂のタイプは, ともに鼻咽腔閉鎖機能の成績に影響しなかった.
4.6種類の評価項目間には, 相互に関連性があり, このうちのいくつかの組み合わせで鼻咽腔閉鎖機能の評価が可能であることが示唆された.
5.本研究で評価された鼻咽腔閉鎖機能は, 解剖学的潜在能力だけでなく学習効果をも反映していることが示唆された.