音声言語医学
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学校健診における言語異常調査
―サ行構音障害をめぐって―
大島 弘至
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1985 年 26 巻 4 号 p. 261-266

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抄録

八王子市内小, 中, 高校生7, 274名を対象として, サ行構音障害を中心とした言語異常児童生徒の実態を調査した.
1.検査方法は被検者と対座して検診するときに, 同時に名前をいわせるという簡易な方法によって行われた.
2.サ行構音障害の大部分は歯間性構音であり, 小学校低学年では対象者総数の18.7%に達したが, 学年が上るにつれて減少した.しかし, 高校生においても約4%に残存し, これは固定あるいは習慣化していた.
3.サ行歯間性構音と器質的疾患との間に相関が認められる例もみられたが, これを単純に原因とは結論づけ難い.
4.サ行歯間性構音者の多くは, 同時にタ, ナ行についても同様の構音を行っていた.
5.耳鼻科学校健診では, 単に局所の検診のみに止らず, さらに言語表出機能を注意して言語障害の検出を念頭においた健診を行うべきである.また機能的構音障害者の社会適応にも触れて考察した.

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