1986 年 27 巻 3 号 p. 235-243
文宇―音声法で就学まで当科で指導を受けた難聴児37名について現在の学業成績を検討した.89dB以下群では71% (17/24人) , 90dB以上群では77% (10/13人) が年齢対応の普通小・中・高校で中以上の成績であった.成績が中に達しなかったものは, 就学時までに健聴の言語発達の6歳レベルに達していないものが多く, 9歳の壁の克服は, 就学時にほぼ判定できることが示唆された.
また, 文字一音声法に手話を早期より刺激した場合の成績を検討した.その結果, 文字, 音声, 手話の各言語モダリティが理解されるまでに要する期間は手話や文字が短かく, 音声言語は有意の差で遅かった.表出されるまでの期間についても同様であった.また, 手話は早期からの母子間のcommunicationとして利用できるだけでなく, 音声言語の理解や表出を促進することがわかった.