音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
口蓋裂幼児における鼻咽腔閉鎖機能の診断
岡崎 恵子加藤 正子鬼塚 卓弥角谷 徳芳四宮 茂宇田川 晃一
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 4 号 p. 292-301

詳細
抄録

口蓋裂幼児の鼻咽腔閉鎖機能の検査として, 開鼻声, /p/の構音, soft blowing検査, hard blowing検査を行った.また, 鼻咽腔閉鎖機能不全が疑われた症例に対してはX線検査, 鼻咽腔ファイバー検査を施行した.対象は, 昭和大学形成外科において口蓋裂初回手術を施行した120例で, 手術年齢は1歳から1歳2ヵ月である.術後の鼻咽腔閉鎖機能は良好107例, 軽度不全10例, 不全3例であった.
その結果, (1) 90%以上の症例は, 3歳6ヵ月で先の4つの検査が施行できた. (2) X線検査は3歳, 鼻咽腔ファイバー検査は6歳以降に可能となった. (3) 鼻咽腔閉鎖機能の判定は4歳未満で約68%の症例で可能となった. (4) 鼻咽腔閉鎖機能判定の遅れは鼻咽腔閉鎖機能の程度, 口蓋の瘻孔, 構音障害と関連があった. (5) 鼻咽腔閉鎖機能良好例であっても, 3歳6ヵ月までは軽度の開鼻声, blowing検査時の呼気鼻漏出を認めた症例があった.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top