音声言語医学
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脳性麻痺アテトーゼ型四肢麻痺の呼吸・発声訓練
高橋 ヒロ子
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1986 年 27 巻 4 号 p. 302-310

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抄録

呼吸・発声の障害を主とする脳性麻痺アテトーゼ型四肢麻痺児 (9歳9ヵ月) に心理リハビリテーションの手技 (実施期間: S.58.6.~S.59.4.) とボバースアプローチの手技 (実施期間: S.59.5.~S.60.12.) を通して, 呼吸・発声の改善をはかり, 次の結果を得た.
1) 心理リハビリテーションの手技によって「アー」発声持続時間は0.12秒から0.61秒にのび, 呼吸パターンも改善した.しかし, 発声姿勢はトニックな全身性パターンが減少したものの, 座位, 立位では動揺の大きい伸展パターンが出現し, 発声持続がのびるにつれ, むしろ顕著になった.
2) ボバースアプローチの手技によって「アー」発声持続時間は0.61秒から2.70秒にさらにのび, 呼吸パターンもさらに改善した.また, 伸展パターンは減少し正中線を交互に動揺するパターンに変化した.両手技とも呼吸・発声に改善を得たが, 姿勢筋緊張の改善と頸部・体幹の安定性の向上および呼吸・発声の分離運動の発達の促通を同時に実施することのできるボバースアプローチの手技がより有効であると考察した.

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