音声言語医学
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脳血管障害による麻痺性 (運動障害性) 構音障害患者の構音と発声発語器官の随伴運動について
小島 義次小島 千枝子窪田 俊夫
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1987 年 28 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

麻痺性 (運動障害性) 構音障害の発語器官の運動障害と構音の特徴との関連を検討するため多発性脳梗塞による構音障害群5名と構音障害のない5名の対照群について舌の非言語的運動に加え, 発話ならび単音節の反復における [k] の構音を視覚的・聴覚的に観察して次ぎの結論を得た.
1) 発話特徴の聴覚印象による評価から構音障害群は仮性球麻痺に一致した特徴を示した.
2) 舌の意図的な運動に意図しない他の部位の運動の随伴する現象が構音障害群にみられた.
3) 構音障害群は, 発話中の [k] に下顎の運動が伴うような音環境で構音がより容易であった.
4) これに対し, 舌の分離した運動が要求される環境にある [k] の構音は困難であった.
5) 構音の困難は, 構音障害群にみられた発語器官の随伴運動を制御して分離運動を行うことの障害に関連すると考えた.

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