音声言語医学
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右半球損傷者のコミュニケーション能力
竹内 愛子高橋 正宮森 孝史
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1989 年 30 巻 2 号 p. 178-187

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抄録

右半球損傷者はコミュニケーション事態において, 言語的・非言語的情報の統合に障害があるために言語操作の高次レベルで困難を示すと考えられている.本論文では, この特徴が右半球損傷群の全体的傾向なのか, あるいは特定の下位群の特徴なのかを明らかにするために, 左半側空間無視の有無を条件とし, 非無視群8例, 無視群18例, および対照群として血管性痴呆群18例に実用コミュニケーション能力検査を実施した.主な結果は, (1) 非無視群の検査成績は高く, 実用コミュニケーション能力に障害がない, (2) 無視群は, 検査成績が高く非無視群と差がない高得点群 (10例) と, これら2群に比較して有意に低い低得点群 (8例) に分類された, (3) 無視低得点群を痴呆高得点群に比較すると, 群間の成績に差がなく, また得点が特に低い検査項目の比較においても, これら2群は質的に区別できなかった, となっており, 右半球損傷群内のコミュニケーション能力は一様でないことが明らかとなった.

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© 日本音声言語医学会
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