1989 年 30 巻 2 号 p. 205-211
1957年LandauとKleffnerは“acquired aphasia with convulsive disorder in children”と題し, 後天性失語症と高度の脳波異常とてんかん発作を合併した症例を報告した.近年, これはLandau-Kleffner症候群 (LKS) と呼ばれ, 報告例は内外で約140におよぶ.長期予後調査の結果からみると, LKSの診断の必須の条件は, 後天性失語症とmultifocal spikes, spike and wave dischargesを示す脳波異常である.てんかん発作の出現は70%といわれ, 臨床発作のない例もある.さらに, 行動異常, 疾病失認, 異常な性格傾向が存在することもLKSの特徴である.発作は抗てんかん剤により多くは抑制される.LKSにおいて最も重要なことは言語症状 (語聾) と行動異常などに対する治療教育である.発症年齢により異なるが個々の発達段階および言語症状の診断と評価に基づき, サイン言語などを用い個々に即した特殊教育が必要である.