音声言語医学
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Print ISSN : 0030-2813
言語音と非言語音の受聴
重野 純
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1989 年 30 巻 4 号 p. 368-376

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抄録

言語音と非言語音の知覚には種々の差異がある.3つの純音を継時提示すると, 第2音の高さは時間的に接近した音へ同化的に知覚される (聴覚的タウ効果) .実験1は聴覚的タウ効果について, 言語音 (合成母音) と非言語音 (純音) の場合を比較した.純音では聴覚的タウ効果が認められたが, 合成母音では時間的に接近する音へ対比が生じた.これを「逆タウ効果」と名付けた.カテゴリー判断の習熟度の低い純音の場合は高さについての聴覚的記憶が利用されるのに対して, 習熟度の高い合成母音の場合はカテゴリー的記憶が利用されやすいためと考えた.実験2は3音のカテゴリー関係が日常会話において同・異の場合を調べた.結果は, 母音のカテゴリーが同→異へ連続的に変化すると, 知覚も同化→対比へ連続的に変化した.言語音と非言語音の知覚が異なるのは, 物理的性質の違いよりもむしろ, カテゴリー判断の習熟度などのきき手側の要因によることが示唆された.

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© 日本音声言語医学会
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