音声言語医学
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中・高度聴覚障害児の音声障害と幼児期の指導との関係
廣田 栄子田中 美郷
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1989 年 30 巻 4 号 p. 381-388

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抄録

普通小学校に在籍する中・高度感音性聴覚障害児112例を対象として, 自由発話の音声, 発語明瞭度, 語音明瞭度について検討し, 症例の聴力, 幼児期の教育環境, 言語メディアの要因について分折した.その結果, 1) 難聴が高度になると音声の障害の程度が重度になり, 障害の種類が増加した.2) 幼児期にろう学校を経た症例では, 正常児統合例と比べて語音弁別能, 発語明瞭度の障害が顕著であり, 発話速度が低下した.3) 幼児期の言語メディアに手指法を用いた症例では, 聴覚口話法例と比べて韻律的障害が顕著であった.発語明瞭度については, 手指法を用いた例では聴覚口話法を用いた例より, 障害が軽度であった.4) 教育要因の差異が聴覚障害児の音声障害の程度に及ぼす影響は, 聴力レベルの差異がもたらす影響より顕著でなかった.5) 言語力については, 聴力の要因や, 各種教育要因による差異を認めなかった.

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© 日本音声言語医学会
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