音声言語医学
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神経学 (Neurology) の立場からみた構音障害
―特にBroca野周辺病巣における構音の異常について―
河村 満塩田 純一平山 惠造
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1990 年 31 巻 2 号 p. 235-241

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抄録

構音障害の定義・分類を神経学の立場から提示した.それに基づいて, Broca野 (左下前頭回三角部・弁蓋部) 周辺の限局梗塞病変で言語症状を呈した8症例の症候と病巣 (X線CT・MRI) とを対比した. (1) 8症例全例で, 病変による程度の差はあるものの構音の障害が認められた. (2) 8症例の構音の障害の性質は多様で, 病変部位との対応関係は明確でなかった. (3) Broca野の後に接する左中心前回下部に主病巣を持つ症例で, 構音の障害が特に著明であり, 主症状として持続した. (4) 病変が左中心前回下部から前方のBroca野に進展する症例では, 持続性失語症状がみられた.

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© 日本音声言語医学会
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