音声言語医学
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歌声の評価
宮原 卓也
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1990 年 31 巻 3 号 p. 335-337

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抄録

オペラや芸術歌曲の演奏に使われる歌声の評価は, 演奏の評価と関係なしに考えることは出来ない.すなわち歌の演奏に使いものにならない声は高い評価を得ることが出来ない.ところが演奏の評価ほど厄介なものはない.評価の基準がないからだ.
音楽大学の声楽の試験や, プロフェッショナルな歌手のコンクールにおける評価はまちまちである.一般の演奏会では更に評価の違いは著しい.
歌唱の演奏では次の二つの点について評価がなされる.音楽性と声である.音楽性に関しては主観的に十人十色の評価がなされるが, 声に関しては, 声域, 声量, 音色の三つの要素について客観的に評価がなされる.
名歌手と言われる人達は, この三つの要素のいずれも人並みはずれたものを持っているが, 特に一つだけ優れているように思われる.
F.コレルリ, J.ビヨルリンク, K.モル, L.ワーレン, M.デル・モナコ, B.クリストフ, D.F.ディースカウ等の男声歌手のレコードの中から, その優れた要素を示す短いメロディーをひろい上げてみた.

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